PROJECT STORY 02
業務改善プロジェクト

業務改善プロジェクト

日々、製造が行われている工場の現場。いつも通りに時間が過ぎていく中で、ある1人の社員が、そこに違和感を感じ取りました。未来のペンニットーを担うことになる彼は、2人の同僚と共に、工場が抱える「裁量的な残業」という課題に挑みはじめます。業務を改善するための実践や苦悩、そして3人に訪れたある変化について、紐解いていきましょう。

製造部 大友 陽太郎 2020年入社
製造部
大友 陽太郎
2020年入社
製造部 古谷 駿  2023年入社
製造部
古谷 駿人
2023年入社
製造部 立川 大悟  2018年入社
製造部
立川 大悟
2018年入社
STORY
01
業務改善プロジェクトは「宿題」からはじまった

今回のプロジェクトが生まれたのは、製造部主任の大友が参加した、相模原市の職場リーダー養成塾でのことでした。初回の講習に参加する際に、「改善すべき課題」の宿題として持っていったのが、製造ラインでの裁量的な残業の発生という問題。仕事上、残業というのは避けられないものですが、それが「指示による計画的な残業」なのか、それとも「個人による裁量的な残業」なのかによって、意味はまったく異なってきます。前者を、業務に応じた適正な残業というとすれば、後者は、曖昧な判断にもとづく不確かな残業ともいえます。それまでの材料チューブの製造ラインでは、進捗の報告や、日程延期の相談がなく、個人個人の裁量によって残業が発生していたそうです。

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そこで、同じく製造部の立川や古谷も共通して抱えていた、この裁量的な残業の課題を解決しようと、大友は計画を立てはじめました。まずは、製造ラインの「準備」「製造」「記録・報告」の業務を明確にすること。これまで、特に準備から製造の作業内容は、曖昧なままで、それぞれの作業者の裁量によって決められているところがありました。そこで、実際に行っている作業の内容をピックアップすることからはじめたのです。大友がリーダーとして、業務プロセスの明確化をしながら、立川や古谷も、その都度の話し合いでフィードバックを行い、作業内容を明確化していきました。

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STORY
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きっとよくなると
信じて、対話を続けた

大友が言うには、今回のプロジェクトの難所は、計画の落とし込みに時間がかかり過ぎたことだといいます。相模原市の職場リーダー養成塾では、会社で発生している問題に対して、短期間でPDCAを回すことにより、課題改善の効果を測ることが求められました。今回のプロジェクトのために使えるのは、およそ3ヵ月。残業時間の改善状況を計測する期間として、大友は9月中旬から11月の1ヵ月半を設定しましたが、そうなると1ヵ月半で、業務プロセスを明確にしなければなりません。最初に立てた業務計画は、本人いわく「使い物にならなかった」そうです。そこで、ブラッシュアップを何度も重ねて、徐々によい業務プロセス案をまとめていきました。改善計画の見込みの甘さ、そして計画通りに進めていくことの難しさを痛感したといいます。

もう一つの課題は、コミュニケーションの難しさでした。プロジェクトがはじまった当初、お互いに気を使ってなのか、改善すべき点について本音を言えなかったそうです。業務プロセスをまとめている中で、「この作業はこれでいいのか」と話し合おうとしても、鋭く指摘することができませんでした。さらには、新しく業務として付け加えようとした「記録・報告」も、なかなか浸透しませんでした。むしろ、残業の後に記録や報告作業がくることで、業務が増えたような気さえしていたのです。しかし、このプロセスこそ、今回のプロジェクトの肝でした。「準備と製造の進捗を伝えることができれば、必要な場合は納期を延期してもらったり、やむなく残業をする場合でも、『指示による計画的な残業』になるはずだ」大友はそう考え、粘り強く2人に報告の必要性を説明し続けました。

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STORY
03
本音が聞こえてくる
頃に、未来の扉が
開きはじめた

繰り返し話し合いをするうちに、段々と本音が聞けるようになったと、大友は言います。「それで大丈夫です」と、否定でも肯定でもなかった会話から、「それでいうと…」と意見を言ってくれるようになりました。さらには、記録と報告に、社内のアプリケーションアプリを使ったり、記入する際の項目を減らすといった工夫も行ったことで、段々と業務計画が浸透していったといいます。その努力が実ったのか、残業時間を目標値以下まで削減することに成功。業務を明確化し、報告を行うことで、残業時間をコントロールできることを証明したのです。また、不要な残業がなくなったことで、作業に掛かっていたコストも縮小。また、納期が明確に分かるようになり、お客様への信頼にもつながる可能性が生まれてきました。

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今後は、業務プロセスをブラッシュアップするほか、社内全体にも、プロセスの明確化を広げていきたいそうです。そして、今回のプロジェクトを経て、3人にも変化がありました。新入社員の古谷は、まだ製造ラインの管理を習得しているところではありますが、プロジェクトにも積極的に関わり、ポジティブに発言してくれるようになりました。そして、3人の中では最も歴の長い立川も、慣れてしまっている業務の中に、ボトルネックとなり得る改善点を見つけるようになったそうです。最後に大友は、プロジェクトを通しての想いを語ってくれました。「これまでは、仕事は仕事と割り切って、同僚に踏み込み過ぎないようにしていたと思います。しかし、普段の接し方は仕事の中にも現れてくるものです。さらに改善できるように、もっと親しい間柄になれたらいいですね。」そう語った大友の顔に、未来のリーダーの姿が見えたような気がします。

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