PROJECT STORY 01
新市場開拓プロジェクト

新市場開拓プロジェクト

海外での新市場開拓。新たな領域へと進み始めたペンニットーは、これまでにはない「製造企業のあり方」を求められることになりました。日本であれば、数ヶ月の長期的な製造フローを必要とする、特注品の生産に与えられた猶予は、「わずか1ヵ月」。世界から突きつけられた挑戦状に対して、ペンニットーが出した答えとは?A国向けの特注品生産プロジェクトの苦難と成功を、開発部と販売サービス部の3人の社員に語ってもらいましょう。

代表取締役社長 櫻井 健一
代表取締役社長
櫻井 健一
販売サービス部 宗宮 ○○  2011年入社
販売サービス部
宗宮 昌貴
2011年入社
開発部 梶山 耀佑  2018年入社
開発部
梶山 耀佑
2018年入社
STORY
01
求められたのは「変化」

プロジェクトのきっかけとなったのは、ペンニットーが次なる一手として計画していた、海外での新市場開拓。新しい市場の状況を探るために、ペンニットーの市場担当者は、単身でA国へと飛びました。そこで分かったのは、現地の半導体市場では「ストレートの長いコルゲートチューブが求められている」ということ。コルゲートチューブは、ペンニットーの主力商品として、すでに大きな信頼を寄せられている製品であり、医療機器から半導体まで幅広く使われています。通常チューブの先端は、機械などに接続する部品を取り付けられるように、まっすぐ(ストレート)に加工されていますが、このストレート部分をさらに長くする、という条件が、プロジェクトを一気に難しいものへと変えました。

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「ストレート部分を長くする。」そう聞くと、ただ規格を調整するだけで済むようにも思えますが、ストレートを伸長する難しさを、代表取締役社長であり、開発部のマネージャーでもある櫻井は次のように語ります。「工業製品をつくる機械を、『治工具』といいますが、この治工具は決して安いものではありません。そのため、単発の依頼のために、普段の規格と異なる治工具をつくると、どうしても赤字になってしまうのです。だからこそ、今後も取り引きが続いていくのかを見極めて、受注の可否を決めなければならないんです」。いきなりの難題に対して、開発部の不安を払拭したのが、販売サービス部の宗宮の言葉でした。「これからA国市場は絶対伸びてくる。私がいっぱい売るから、大丈夫だよ」それは、ストレートの長いチューブのニーズが、現地で高まっていることを知っていたからこそ、自信を持って出てきた言葉でした。そして、ペンニットーとして、なんとかA国市場での信頼を築きたいという想いもあったといいます。

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STORY
02
スピード勝負の世界

これまでにない、特殊な寸法のチューブ製品。これだけでも充分大変な課題ですが、問題は、A国市場に特有の「スピード感」にもありました。開発部の梶山は、当時を振り返って、次のように言います。「納期が最大の壁でした。最初に提示された納期はわずか1ヵ月。いつもの特注製品なら、3ヵ月かけてもおかしくありません」その言葉どおり、本来であれば、時間をかけて慎重に進めていくことが多い特注品の開発。国内企業から依頼を受けた場合には、納期を延長することさえありました。しかし、今回は事情が違います。1ヵ月以内に納品しなければ、勝負の土俵にすら上がれない。それがA国市場なのです。

また、治工具のデザインにも課題がありました。一般的なふっ素樹脂チューブの製造に用いられる治工具は、一つのパーツから構成されています。しかし、特注品用の治工具は、一つのパーツでは、品質を保証できるようなチューブを製造できなかったのです。「悪いけれど、それはつくれないよ」開発部の2人は、治工具の製造会社に問い合わせをしてみたものの、多くの会社に断られてしまいました。そこで彼らは、2つのパーツで治工具をつくることを思いつきます。2つのパーツで治工具を構成すれば、半導体に使用しても問題のないチューブがつくれるだろうと考えたのです。

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STORY
03
過去を恐れず、
未来に賭けた

ようやくデザインが完成したものの、やはり納期の問題は大きくのしかかりました。1ヵ月の納品に間に合わせるためには、数週間以内に治工具を製作できる協力会社が必要だったのです。これまで、長年やりとりをしてきた協力会社で想定される納期は、約2ヵ月。これではチューブの納期に間に合いません。取引先との関係性の大切さは重々承知しつつも、新しい領域へと進むために、開発部の2人は新たな協力会社を探すことにします。そうして、櫻井のつながりから、2週間半で治工具を納めてくれる会社が見つかり、無事に治工具が完成。それを使って急ピッチで製造した、ストレートの長いチューブのサンプルをもって、市場調査担当者は、再びA国へとわたったのでした。

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サンプルを提出した後、相手企業側からの反響はありませんでした。しかし、その代わりに返ってきたのは「製品の受注が決まった」という知らせでした。言葉ではなく、行動で感謝を示す。それが、A国市場の礼儀なのかもしれません。こうしてはじまった取り引きは、今でも継続して行われています。また、一つの実績が生まれたことにより、A国の別の企業との取り引きが決まり、売上高も段々と増加してきています。

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STORY
04
私たちは「変化できる」
と知っている

今回のプロジェクトの成功は、ペンニットーのこれからのあり方に、大きな一石を投じることになりました。これまでの「自分たちがつくったものを売る」という姿勢から、「お客様の困りごとを解決するために、ものづくりをする」という、ニーズを前提としたあり方への大きな分岐点となったのです。「実は、今取り引きをしているA国の企業とは、すでに5年もの間、通常品での受注がありました。それが最近になって、ストレートが長いものにニーズが変わってきたのです。今回のプロジェクトを困難にしたのは、これまでのペンニットーのあり方に課題があったからなのかもしれません」そう櫻井が話すのは、これまで日本国内での特注品の製造が、「自分たちが製造できるかどうか」をベースとした対応だったからでした。特注品の依頼が来ても、断ることもあったといいます。

しかし、A国市場おいては、その姿勢は通用しませんでした。必要とされるものが、買われていくのです。そして、ペンニットーの3人は、A国市場での販路拡大のために「変化」に賭けて、無事にその挑戦を達成しました。今後の開発部を担うことになる梶山は、プロジェクトを踏まえて、こう語ってくれました。「これからは、お客様の核心を突くような、そんな課題解決をできるようになっていきたいですね。そのためには、知識や経験、ヒアリング力、そしてニーズを実現するための技術力も必要になるはずです。ですから、もっと多くの部分を磨き上げなければなりません」お客様との向き合い方を変えたペンニットーは、これからも世界へと進み続けるでしょう。なぜなら、自分たちが変化できるということを、すでに知っているのですから。

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